重症心不全の母へ、腰痛改善のマッサージ

訪問マッサージとは?

訪問マッサージという職業は私が鍼灸マッサージ師の免許を取って最初に就いた仕事です。定期的にご自宅へ伺い、15〜20分のマッサージ、お灸(温灸器)、鍼灸治療(置鍼)をして血流改善や疼痛の緩和を行うもの。多い人で毎日伺っていました。

保険診療で利用する場合は医師の同意書が必要になります。ちなみに介護保険は利用できません🤔

現在、心不全を患った母が退院し自宅療養をしていますが、入院中に悪化した腰痛のケア、胃腸や冷えのケアは私がしています。

訪問マッサージは基本、通院できないくらい体の状態が悪い方や脳梗塞後の後遺症で麻痺が残ってしまう方へのマッサージを行います。

入院中でも腰などが病む方には看護師さんやリハビリの先生、病院勤務のマッサージ師がベッドサイドでやってくれるそうです。ご自宅に伺う訪問マッサージの場合、日時もやることも決まっていて💦本当は夜寝る前にケアした方が効果的でも、朝8時から、ということがザラです。

だから、本当にこの手技が効いているのか?失礼ではありますが当時は疑問に思いながらやっていました。患者さんの病状にも気を取られてしまい、心不全、脳梗塞などの大病による辛さを私達が手技によって緩和しなければいけないのだろうか?と錯覚することもありました。実際、手技で難病、重病が治るわけでも軽くなるわけでもないのですが。

煙の出ないお灸で肺に優しい

マッサージが必要になる時

母は腰椎圧迫骨折の既往があり、入院中の絶対安静が長く、ギックリ腰も併発したため後半は心臓病より腰痛の苦しさの方が圧倒的でした。

でも、循環器科では腰痛のケアはしません。退院して家に戻って来た時も腰の痛みが酷く左向きにしかなれず、左向きだと心臓が圧迫されて苦しい、上向きは腰が痛んでできない状態で寝返りが打てず苦しんでいました。痛みの位置は仙腸関節でした。

とりあえず横向きでチェックしたところ、母の腰はどこが骨で筋肉なのか?仙腸関節もかなりズレていて酷いものでした。筋肉かと思われるところに筋状の硬結があり背骨が2本あるように見えました。

筋力低下もありクニャクニャしていて揉むものがない。ただ痛みは強いということで、以前も時々やっていたオイルマッサージを始めました。

マッサージというよりドレナージです。硬結はイケそうな時に指圧でゆっくりほぐしつつ。それから胃腸の不調に対するアプローチ。これはホットストーンをお腹と腰に1日何回か置きます。母は貧血からか、やたら冷たい物を食べたり飲むようになりました💦そのため、常に胃腸の調子が悪く、手でお腹を押さえていました。そのため病院では便秘薬を処方されていましたが、家に戻ってからは服用せずに済んでいます。

ホットストーンで温める、なんてとても単純な発想ですが、これが体力の落ちた患者さんにはとても心地良く安らぐセラピーになります。重病を治すというより、お腹が痛い、腰が痛い、など痛いところを直接触ってあげることが鍼灸マッサージ師の役目かな、と思います。

お腹、腰、大腿部に点在する硬結の処置と温め、少し動いた後と寝る前のオイルマッサージにより腰痛は改善。寝返りが打てるようになり夜は眠剤の使用なく熟睡できるようになりました。自宅療養で運動量が増えたため筋力がついたことと、運動後のリカバリーが効いているため腰痛は無事改善されました。

上向きでリラックス

資格がなくてもやってあげて欲しい

在宅マッサージは健康保険で利用できますが、家族がやっても良いと思います。撫でたり摩ったり、温めたり冷やしたりすることにいちいち国家資格はいらないと思うし、一番病む時間、寝る前、通院したり少し動いた後に少しばかりの手当てをしてあげれば充分。

よっぽど痛みが強い時や圧迫骨折などの既往歴があれば別ですが、自宅療養している患者さんへはできる範囲の養生をなるべく全部してあげてください。

お灸も薬局に売っていますが、自宅療養されてる方というのは体力がありませんから、ちょっとの刺激で充分です。通常なら燃やし切るお灸を、え?もう⁇と思うくらい早く外してくれ💦と言うと思いますが、本人が熱いと言うなら外してあげましょう。

大切なのは『辛い時に辛い場所へ手を差し伸べる』こと。毎日同じ時間に機械的にマッサージして終わりではなく、辛い時に摩ってあげるようにすると状態は良くなります。

患者さんは周りへ気を使う余裕などありません。基本的に自分のことで精一杯。痛みや不自由な体と戦っていますから、労を労う意味で見守りつつ、時々背中や足を時々摩ってあげる、直に手で触れてあげることで充分ストレスの緩和になります。

ケアする人にもケアを

母が突然重病人になってしまったことで、ケアする家族の気持ちを身をもって知ることができました。家族は患者さんに一番近い存在だけに色々な感情もあって、一番安心する存在でありながら無下にされてしまうこともしばしば。体が思うように動かせない患者さんのストレスを考えつつも仕事と違って割り切れずに感情を抑えてしまうことも多いです。

寂しさ、心配、思いやりを日々抱えながら、無理のない程度に自分の生活も送らないといけない。一番もどかしいのが、育児と違っていずれ終わりがきてしまうこと。終わった時はもう会うこともできない、おしゃべりすることもできない、お別れということ。

こんな複雑な思いを抱える家族にも、ケアが必要だとあらためて感じました。

私は訪問医、訪問看護師さんという第三者が介入することで、在宅の看取りができる心強い味方ができました。母の病状に冷静に向き合ってくれるプロがいてくれると安心です。

しろたえのボディケアは『治療とリラクゼーション』がテーマ。お客様が気持ち良さそうに眠り、スッキリした表情で帰っていく姿を見ると『自分に集中する時間』って大切だな、と思います。自分のためのボディケア、自分だけに与えられた時間と束の間の安息はストレスケアに重要。治療は施術の最初に行い、処置が終わったら全身。働くみなさまはもちろんのこと、今現在ご家族の看護、介護に携わっている方々の緊張の緩和に役立てたらな、と思います。

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