真のホスピタリティとは?

丁寧すぎることとの違い

ホスピタリティの意味はおもてなし。ホテルなど接客がメインの業種で使われますが、最近では介護業界や病院にも求められています。

私は昔ホテルに勤務していました。

音響照明の裏方ですが、結婚式の演出の現場で打ち合わせなどの接客も経験しています。ホテルにおけるホスピタリティというのはバカ丁寧な接客とは違います。

最近では廃れてしまいましたが、コンビニで女性店員さんがお釣りを渡す際、下に手を添えて、なんならちょっと手を握る感じのやりすぎホスピタリティがありました。あれで喜ぶ人がいるのか?と思ったものです。

今ではお釣りを「トレーの上から失礼します」とあえて言いますが、そのためのトレーに乗せてるのだからわざわざ言わなくても良いではないか、と思うことがあります。声をかけるにしても「右から失礼します」「後ろから失礼します」といちいち角度を述べる店員さんもいます。

さらにはエステの業界では「お香り」「おコース」「マタニティ様」など過剰な丁寧語、謙譲語のオンパレード。ひれ伏すこと=丁寧な接客と勘違いしているフシがあります。

しかし、ひれ伏すことは逆に無礼です。

すごく丁寧なんだけど実は感謝されることを前提にしちゃってる。店員さんはその気はないと思いますけどね(^_^;)なっちゃってるんです。

お客様の時間を邪魔しない

ご丁寧すぎる接客はお客様に「ありがとうと言え」という無言の圧力を与えています。「右から失礼します」といちいち言われたらお客様はそちらを向き会釈の一つもしなければならない。これでは、一人で静かに過ごしているお客様、数人でお喋りしているお客様の時間を妨げてしまうんです。

ホテルでの一例ですが、バイキング形式の立食パーティーで食べ終えたお皿を持って「どこに返したら良いですか?」とお客様に聞かれたことがあります。これの答えは何だと思いますか?

ただご丁寧な接客では「ありがとうございます。あちらを曲がって右手に返却口がございます。」になると思いますが、真のホスピタリティならば「どうぞ、こちらに置いていただいて結構です。」と言ってお皿をお預かりするか、その場にテーブルがあればそこに置いてもらいます。

お客様の手を煩わせないこと、お客様に選択権があること、これがスマートな接客でありホスピタリティの基本です。

施術では、声掛けしすぎたり様子を伺いすぎたりするのは過剰な接客だと私は思います。寒くないですか?力加減は強すぎませんか?あーですか?こーですか?と、聞くことによって施術者が満足しているだけではダメなのです。

お客様が「暑い」と言ったら、温度を下げるか、エアコンを止めるか?ヒートマットを消すか?私は選んでもらっています。それを選ばせずにエアコンを止めて、これで大丈夫ですか?という確認は気が利いていません。

真のホスピタリティは疲弊しない

どうするかはお客様が決めること、それを理解して素早く行動できることが真のホスピタリティではないでしょうか。

ただご丁寧な接客は双方が神経を使い疲弊してしまいます。でも、スマートな気の利く接客というのは心地よく、満足度の高いものだと私は思います。