自律神経失調症てなに?

自律神経失調症てなに?

わりとメジャーな、この『自律神経失調症』。鍼灸治療の得意とするところですが、自律神経失調症とは実際どういう症状をいうのか?というお話です。

自律神経というのは、交感神経、副交感神経の二つを言います。神経系は中枢神経、抹消神経という大きな区分があり、その抹消神経の中に体性神経、自律神経があります。さらにこの自律神経の中に交感神経、副交感神経があります。マトリョーシカみたいになっていますね。自律神経失調症というと、なんだかやる気が出ない鬱症状全般をいうような気がしてしまいますが、本当の意味はこの二つの神経のスイッチがうまく入らないために起こる不具合全般を言います。便秘や冷えはまさにこのスイッチの不具合によるもの。内臓の支配神経は自律神経ですから、自分の意識でコントロールできないという特徴があります。

心臓も自分の意識で動かしているものではありませんね。寝ている間、生きている間ずーっと動いていてくれています。それが自律神経の力。朝から夜へと体を休め、回復するためにスイッチが変わったり、ピンチの時の火事場の馬鹿力なんかは交換神経が働いて、私たちの生命を繋いでいます。

戦いのスイッチが入っている時にトイレに行きたくなることはありません。ましてやウンチなど出ません。そのようにできています。便秘というのは交感神経優位の状態であって、リラックスしていないとウンチは出ない仕組みに、基本なっています。

緊張やストレスにより腹痛を起こしてトイレに駆け込む方がいますが、過敏性腸症候群などで過度に胃腸が刺激されてしまうという特別な場合です。この症状自体、自律神経の乱れが影響しています。通常であれば危機的状況下でトイレに行くことはないのです。

副交感神経は夜に切り替わり、体の回復や代謝を行います。交感神経よりもこっちの方が良いね👍と思ってしまうところですが、副交感神経優位で交感神経のスイッチが入らないことも大問題です。主に日中の眠気、やる気が起きない、ダルいなど何かとオフな症状です。ずーっとリラックス状態でノンストレスだと生き物はダメになります。低気圧が近づいてくると高い山に登った時のように酸欠になりますが、酸素が薄くなると副交感神経が優位に働くのでやる気は出ません。梅雨どきや台風、曇りが続くとなんとなくダラ〜っと過ごしてしまうのはこのためです。

陰陽と同じで、これこそバランス。

朝から夕方は交感神経、夜は副交感神経、というスイッチが正しく入っていることが健康です。不眠、便秘、冷えなどでお困りの方はまずこのスイッチの存在を意識してみてください。どちらかが強く作用してバランスが崩れているはずです。

鍼灸治療では問診でどちらが優位かチェックしてツボに刺鍼します。補法、瀉法といった手技で、多すぎるものを取り除き、足りないものを補うことができるのです。スゴいですよね🙌私は東洋系の治療はやらないので専門外ですが、ざっくり診断して刺激量や手技の調節をしています。鍼灸治療じゃなくてもアプローチは可能です。というか、本人が気づけば治ることも多いので私は痛みの治療をメインにしています。スイッチを自分で入れられるようにするための生活改善、それも大切です。

ここまでで頭を整理してみると、みなさんはどちらが常日頃優位でしょうか?お腹の具合でいえば、便秘と下痢を繰り返すタイプは実は自律神経が最悪の状態ですから放っておかない方がいいです。交感神経優位の方は瀉法をオススメします。生活に瀉法。例えば、スマホやゲームのやりすぎは交感神経を刺激しますから時間を減らし、夜などはやめましょう。末端冷え性は夜中にゲームやスマホをしてる限り、どのツボに鍼しても治りません💦

副交感神経優位の方は運動で汗をかきましょう。生活は補法。止まってるエンジンを動かし、汗を流します。ちなみに更年期症状の方もこちらです。血圧を上げる、代謝を上げる、血行を良くする、アゲアゲの状態を作り出します。運動はとりあえず何でもいいので、体を自ら動かすということに重きをおいてくださいね。

最後に、この太極図を参考に。東洋医学では中庸を大切にしています。

陰陽太極図

夜がくれば朝がくるように、どちらかが極まればどちらかが減る、自然界も人間界もこれが普通で、自律神経も同じように体の中でこれを繰り返しています。その上で真ん中を保つ必要があります。体温のように、周りが暑かろうが寒かろうが平熱を保つことは人間が命を繋ぐために大切なことです。この波に飲まれて中庸を保てなくなった状態が自律神経失調症だと私は考えています。まずは頭の中を整理して、自分は今どこにいるのか?何が多くて何が少ないのか?考えてみると面白いですよ!

それではまた(^-^)/

交感神経と副交感神経を意識するとまとまります。