サロンの治療成績
お店をオープンして3ヶ月目ですが、職歴としては間もなく10年目を迎えます。というか、まだ9年だったのか…と、経験密度に比べて短い気がして、もうちょっとハクをつけたいところです。
この職業を長くやっていると自ずと『治療成績』なるのものが出てくるのですが、これは『どの症状を治すのが得意な人か?』というのものです。私の恩師である湘南鍼灸接骨院の院長先生は久しぶりに会った時に『治療成績はどう?』と聞いてきて、やっぱり職人さんだな~とつくづく思いました。この話は現場で働いていると本当に尽きることはなく楽しい話題。鍼万能説などはやはり現場にそんなに出てなかったり、さほど職人気質でない人の言葉です。何でもかんでも治る療法などこの世にはない。技術の他に、治る治らないは受け手である患者さんのポテンシャルにもかかっているのです。
今回はそんな私の部位別の治療成績を冷静に分析して挙げておきますので来店の参考にしてみてください。
腰の治療成績
腰の治療は一番ニーズがありますが、簡単そうで簡単ではありません。でも、何故か治ることが多いジャンル。体重や筋力低下、姿勢の影響を多分に受けるのでちょっとやそっと硬さを取ってもすぐ元に戻ってしまい、複合的に色々見直さないと痛みからの完全なる解放はちょっと難しい場所。でも、とりあえず近々の痛みを抑えることはできます。トリガーポイントという、引き金になっている部分の硬結を取って治療しています。得意ではないけど、治せてはいるという感じ。そんなに期待しないでください。
首の治療成績
首は得意です。青山のサロンで働いていた時、エステのお姉さん達は首を過剰にグリグリやるらしく揉み返してるお客様が多かったです。そうしておかしくなった首を治す担当が私でした。マッサージ師は意外にも首は触りません。そもそも首のマッサージを習いません。首のマッサージは『無い』のだと思います。
私も色々なマッサージ店で首をほぐされおかしくなった経験が何回もありますが『首はほぐしてはならぬ!』と思います。私は分界溝線(ぶんかいこうせん)という頭蓋骨と首の境目のツボ押し、頸椎のズレ直しにモーション・パルペーションを使い、最後は頸椎7番のPNF(拮抗筋を使った負荷の無い筋トレ)で仕上げます。首は可動域が広く、頭の重さにも耐えているため筋肉の構造も緻密なのです。尻の筋肉のようにドカンと一個ある大臀筋と違い小さく繊細なので、むやみにほぐすとバランスを崩してしまいます。
また、首の筋トレはマニアックで日常的には不可能かと思われます。首でブリッジ、や首で重りを持ち上げるなど、下手したら逆に痛めるだけです。PNFは地味ですがよく効きます。
膝の治療成績
こちらも得意です。むしろ一番得意と言ってしまいます。膝は私の中では単純な構造。基本的に指と同じ動きです。そこに体重と膝関節の捻りが少々加わるので指よりややこしいですが、屈曲と伸展をキレイに行えばそれだけで半分治ります。膝周りと大腿部、膝裏、ふくらはぎにたくさんトリガーポイントがあるのでそこを取り除いて、ズレをちょっと治すためにモーション・パルペーションを使っていますが、ほぼトリガーポイントで事足りる感じです。あとは膝のアライメントを保つために膝使いのコツを本人に教えます。ズレるようなアライメントでいるといつまで経っても治らないので、そこはご協力を願います。
肩の治療成績
こちらは昔一番悪かったです。むしろ治せない、と言っても過言ではありません。今もさほど得意ではありません。鍼で関節周りの筋肉の緊張を取り、脇の下を指圧、上向きでPNFをしています。これでサクッと取れる人が時としている、という感じ。通電パルスでパッ!と治った方もいましたが、これは上手く使えていない、弱った筋肉に打って動かしたのでバランスが良くなったのだと思います。肩関節はほぼ筋肉で固定されており関節としては接続が浅い部分。筋肉には柔軟性が必要で、関節には広い可動域が求められます。これは条件として難しいのです。また、痛みの程度もわかりにくい。大体、肩が痛くて苦しんでいたとしても本人の表情と裏腹に見た目に何の変哲もなさすぎる。腰が痛いとへっぴり腰になるのでわかりますが、へっぴり肩って聞いたことないですよね。
頭に近いので痛みのレベルは高く、不意に動いて痛む時には『ぎゃあぁぁ!』と叫ぶ方が多いですが、その割に周りに伝わりにくい、そんな場所です。昔は私が施術するとむしろ悪化するレベルで治療成績が悪かったですが、今は『得意ではない』くらいに持ってきています。
股関節の治療成績
こちらは得意とか苦手とかいうよりめちゃくちゃ難しい部位です。人体の中でも特に大きい関節で、足の痛みとしても波及するので辛さが四六時中続きます。その上、分厚い筋肉に覆われていて触診しにくい。何が原因かを丁寧に探る必要があるので問診や見立てが大切です。その上でトリガーポイントによる指圧や大腿の鍼ですね。鍼が気持ちよく、患者さんが痛みから解放されているのが施術中によく伝わってくるのが股関節痛のポイントです。根気よく通っていただいて、場合によっては痛み止めを飲んだ方が早い場合もあります。とにかく、痛いところに手が届く治療をしてあげるのが股関節痛の方には大切。サクッとは治りませんが、地道にコツコツ痛みを取っていく感じです。
包み隠さず言うと、これが私の治療成績となります☺︎なかなか、本人が思ったように得意分野は選べないように思います。なるべくしてなった、とかそういう患者さんが多く臨床経験を多く積むことができたとか、自分がよくその部分を痛めたなどの経験に左右されると思います。男の人が生理の辛さをわからないのと一緒で、自分が経験していないとなかなか主観として感じ取れないというのは否めないかと思います。
そういう意味で、私は格闘技でほぼ全箇所怪我したのでツラミを知っているという感じでしょうか。身を呈して知ることができた事は格闘技に感謝しなければなりません。
5年前など、私は両膝が悪くてパンパンに腫れており毎日足を引きずって生活していました。一回怪我して治りが悪かったのと、重ねて怪我したのもあります。もう終わりかと思いました。でも今こうしてサポーターもせず格闘技やっているんですよね。あれ?終わってないんだ…と知った時は自信に繋がりました。今や、格闘技をやってる割に私はハタから見たらまるで怪我してない人です。
最近よくマッサージ店で男性店主が逮捕されていますが、こんな怪しげな店によくお客さんが行くなと思います。この店のマーケティングが巧みなのか、入ったが最後、怖くて出られないのかわかりません。正当なマッサージをしているかどうかは経歴や施術内容をホームページでちゃんと書いているか、重要な判断材料になるのだそうです。『治る!』を連呼する治療院には藁にもすがる思いの方々が怪しいかどうか判断できずに引き込まれていくのでしょう。見ず知らずの人の体を、診てもいないのに診る前から治ると言ってしまう。そんな魔法使いみたいなこと本当にこの仕事を真剣にやっているならできませんし、言えません。
私はプロフィールでは経歴を載せていますが、それとは別に今上記のような感じで治療、施術をしています。普通はこのくらいのテンションです。治したい気持ちは施術者側は誰しもありますが、治るかどうかは患者さんの体力などにもよる、ということ。ですからあくまで『治療成績』なのです。ちなみに私はスピリチュアルには疎いですので、何か導いて欲しい場合はまるでお役に立てないかと思います(^_^;)スピリチュアルもこのご時世何かと賑わっており、何らかの答えを求めて彷徨っている民が大勢いるのですが、分野が違うのでお気をつけください。
全部治せます、と言いたいところですが現実はこういうものです。是非、参考になさってください。