体は治ろうとしている

体が壊れた時に、その壊れ方を分類すると怪我・疲労・病気に大別できるかと思います。まず、どのカテゴリーに入るかを明確にすることは重要。それがわかればどのように治っていくかもわかるようになります。ゴールを設定し、そこに向けて治療しますがそれに対する反応は個人差があるので絶えずフィードバックを繰り返し、修正を加えながら前進していきます。

でも、意外とこの『壊れ方の分類』を飛ばしている事が多いと思うのです。先生も患者さんもお客様も、ここを当たり前に知っているものとして治療なり施術を始めるのでゴールに到達するまでに道に迷ってしまうのです。

リハビリの基礎はゴールの設定と治療に対するフィードバックです。でも、これはリハビリではなくても同じ。間違った対処法ではゴールに到着しませんし、そもそもゴールの設定が間違っている可能性もあるのです。

怪我と呼ばれるもの

骨折、脱臼、捻挫、打撲など、何か強い負荷がかかったときに折れる、曲がる、切れるといった状態に陥った様を言います。怪我は原因がハッキリしているのが特徴です。『転んでから膝が痛い』これは怪我です。ただし、怪我は直後や一週間以内に起こったものであり、二週間過ぎれば原因は怪我でも、今起こっている痛みは『後遺症』となります。

大体、怪我はある程度自然治癒します。何もしなくても体が全自動で何とかします。しかし、怪我をして早めに正しい治療をする事で予後は劇的に良くなります。再発もなく、痛みもなく不自由なく生活できる確率が高くなります。ここで治療せず自然治癒に任せた場合、一応傷は治るものの、硬さが残ったり伸びが悪くなったりしてまた繰り返す事があるのです。

ですから、できるだけ早くに炎症を最小限に抑えて、かつ血流を良くし、硬さが出てきた所でほぐしたりストレッチをかけ、患部の治りと動作の改善を目指します。ですから怪我は、短期間にしっかり治療に通い早めに正しい処置することが大切です。大体、最短で1週間、長くて2週間~3週間は集中的に治療に通いましょう。

疲労と呼ばれるもの

精神的、肉体的に疲れが溜まった時を境に起こる肩凝り、腰痛などの痛み全般を言います。寝不足や冷え、立ちっぱなし、座りっぱなしなど、そんなに強い負荷がかかっていたわけでもないけど本人の体力を上回った時に症状が現れます。免疫力が下がる、というのもこれ。経過が長く、これといった明確な原因がないのが特徴です。

こちらは自然治癒もしますが治るまでが明確ではなく、いつの間にか痛みを感じなくなっていることもしばしば。仕事を休んでリフレッシュした、いっぱい寝た、これで治ってしまうこともありますが日常生活に戻るとまたおかしくなる、と繰り返してしまいます。

疲労はゲームでいうところのLPとHPですから、宿屋や教会で回復するのと一緒です。この場合、ゴールはLPとHPを満タンにすることですから、黄色になったところで手当てをすることが大切です。黄色になったところでベホマをかけられるようになる、かけてくれる人がいる、と良いのです。こういうことですから、週に2回来ようが来まいが疲れていなければ何も起こりませんし、通うことでゴールが近づくことはありません。

この場合は期間と回数、時間勝負ではなくタイミング重視です。

良きところでメンテナンスする事が大切。それには自己管理をしていかなければなりません。治してもらおう、というより自ら治しに行くのです。

病気と呼ばれるもの

こちらはウイルス、内科疾患などの予期せぬ出来事で助けが必要です。本人の自然治癒能力にも限界があり医療の力を借りなければいけません。私たち鍼灸マッサージ師が訪問リハビリで向かう患者さんはもともと脳梗塞の後遺症による片麻痺など、病気が原因で麻痺になってしまった方を対象にしています。そのため、怪我、疲労のゴールである完治、回復ではなく廃用性萎縮を防ぐための現状維持となる事が多いです。ですから常にもうゴールに立ってはいるので、後はそこにい続けなければいけないという事。病気が原因で体が壊れている場合はゴールまでが短い代わりにそこにい続けなければならない、という難しさがあります。

外科的手術でも、手術で悪いものを取る事はゴールです。

取る事自体は終わっても、そこから合併症を起こさないようにするとか、傷が無事回復するまでの時間が必要で、今ある体力を維持する必要があります。

と、このように分類すると、自分は今どれかな?と思いますよね。平常時にわかっていても、いざ痛みと対面するとコレを忘れて『どこに通えば治るか?』という発想になってしまいます。通って治るものが怪我、通っても通わなくても大丈夫なこともあるのが疲労、通うのではなく専念しなければならないのが病気、という感じです。

ですから怪我だと思うなら通いましょう。私はお店に来てくださるお客様にはこのようなスタンスです。『これは定期的に通った方がいいね!』と言われると、商売上はそうして欲しいですが理論上は『怪我じゃないから通わなくてよい』ということになります。

逆にいうと、怪我じゃないものを通って治そうとしても治らないので、私が胡散臭いセラピストになってしまう気がして嫌なのです。

そう考えると体質改善、免疫力アップは怪我、疲労、病気、全てにおいて効いてしまう究極のゴールだと私は思います。ただ、このゴールは目に見えないのです。ゴールどころか向かっていく道も見えません。でも何故か、上記にあるような超現実的ゴールよりもこちらのゴールを目指す方が多い。見えない、途方もないゴールに向かって旗を振っている人がよほど魅力的なのかもしれません。今年は例年になく政治に注目が集まる一年となりましたが、その中で『やってる感』という言葉がより真実味を増していました。やってる感はやってる事により安心してしまい、本当の解決に至らないというもの。ゴールの明確でない治療も同じじゃないかなと思います。やってる感に重きを置いているところはやたらとお金と時間がかかる、そういう特徴があります。

ゴールを見失わない事、人間にはそもそも自然治癒能力がある事、を施術する側もされる側も今一度自覚しなければなりません。そして一つ一つ丁寧に解決していく。医療も有限ですので、自分で考え、治す力を身につけたいものです。

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