なで肩の改善方法
なで肩は病気ではありませんが、肩と首に与える影響は大きくなります。肩の筋肉は腕を体幹にくっつける役割がありますが、なで肩では腕の重みに抗えずに一緒に下がってしまっているので、腕は首にぶら下がっている状態です。
ターミネーターで有名なシュワちゃんもすごいなで肩ですが、どちらかというと発達した僧帽筋が盛り上がって前から見えているという感じ。ボディビルダーの方なんかはそうなります。
一般的ななで肩さんというのは、肩の筋肉が思いっきりストレッチされている状態をいいます。
筋力が弱い、もしくは上手く使えていない、不良姿勢など様々な原因があるかと思います。もともと肩甲骨や肩関節のポジションが悪い方もいるのかもしれません。首と肩甲骨を繋ぐ筋肉、肩甲骨と肩を繋ぐ筋肉、それらが常にストレッチされている状態だということは筋肉の働きとして正しくないのです。
筋肉の本来の機能は『縮む』ことです。何もしていない時、リラックスしている時、筋肉は伸びているわけではありません。元の長さでいるだけです。例えば、お買い物袋を腕に肘のところにかけていたとします。その時、上腕二頭筋という力こぶの筋肉は縮んでいます。これに対し反対側の『拮抗筋』と呼ばれる上腕三頭筋は逆の働きをするわけですが、ここに人体の優れた仕掛けがあるのです。縮んでいる筋肉に対して拮抗筋は伸びているかといったらそうではないのです。拮抗筋が二頭筋のなすがままにストレッチされてしまうと肘関節はどうなるでしょう?抜けてしまいます。そうならないように、上腕三頭筋は『ブレーキをかけている』のです。つまり拮抗筋の役割は『伸ばされながらも力を発揮する』こと。この働きのおかげで10か0の動きではなく、物を持ち上げながら腕を色々な高さで止める繊細な動きができるのです。
腕のほかにもわかりやすいのはモモの筋肉です。膝を曲げると縮むのは膝の後ろ側につく筋肉たちです。これに対する拮抗筋は大腿四頭筋など前側についている筋肉。スクワットの動きで縮めているのは足の後ろ側の筋肉のはずですが、実際ものすごく辛いのはモモではないですか?空気椅子をやってプルプルくるのもモモですよね。
これは膝がハズれてしまわないよう、四頭筋が強力にブレーキの力を発揮しているからです。このように絶えず筋肉は力を発揮しながら無意識に使われており、何気ない動きのなかでも決してストレッチされているわけではないのです。
これを踏まえてなで肩を考えた時に『常にストレッチされているということは筋肉が力を発揮することができない状態』ということになります。これは由々しき問題です。
なで肩の方の肩凝りにおいて気をつけるべきは、既にストレッチされている筋肉であることを施術する側が知っていないといけません。通常のガチガチの肩凝りの方と同じようにほぐしてしまうと、ただでさえ力の入らない状態の筋肉が余計に解れて力が入らなくなってしまうのです。ですから、必要最小限に凝りを取りのぞいた後は、日常的に肩をすくめる筋トレをしてもらうのが効果的です。一瞬肩をすくめて脱力の繰り返しではなく、全力で肩をすくめてもう辛い!というところで脱力です。これで筋肉が本来の動きを取り戻すのでポンプ作用が働き血行も良くなります。
なで肩の方には私だったら指圧や鍼でピンポイントの凝りを取る以外、摩ったり捏ねたりもしませんね。やってあげたいのはやまやまですが、原因が原因だけに緩めるということが逆効果となってしまうのです。
なで肩でお困りの方はぜひ一度、受けているマッサージが正しいか確かめてみてください。そしてやりたくないとは思いますが、すくみ肩の筋トレをお願いいたします!