先天的側湾と後天的側湾
実は『側湾症』の鑑別には条件があります。ただ背骨が真っ直ぐでないように見える、だけでは側湾症とは言いません。
前屈した時に肩甲骨の高さに明らかに不自然な左右差が現れて初めて本物の側湾症といえます。
先天的側湾症
そして先天か後天かも重要。先天性の場合、子供の時から胸椎にコルセットをつけて治療します。そうでないと曲がったまま成長してしまいトラブルに繋がりやすくなります。背骨の中には神経の束が通っていますから管が曲がっていることで痛みや障害が発生しやすくなります。ちなみにコルセットをつけるのはかなり重症の場合です。
成長する過程で改善されることもありますし、症状に名前はあれども病気ではないので普通に何事もなく生活することは可能です。この辺はストレートネックと似ていますね。
後天的側湾症
次に後天性の側湾症ですが、これはひとえに『姿勢不良』の賜物です。
テレビを観る時にソファーに横向きに寝転がったり、腰が痛くて横向きでしか寝られない、とかそのような姿勢が長ければ長いほど背骨にクセがついてしまうのです。そのため、その姿勢をとらないようにすれば治るチャンスがあります。
姿勢不良による側湾症は骨にダイレクトではなく、最初は筋肉の均衡がおかしくなるところから。そこから椎間関節がちょっとずつズレて背骨に変なクセがついてしまう。
特に慢性腰痛の方は真っ直ぐ上を向いて眠ることができませんからクセを治すには時間がかかります。
鍼灸マッサージでのアプローチ法
しろたえでアプローチするなら、まず指圧。次に鍼、もしくはオイルマッサージというラインナップ。
側湾症の人は互い違いに背骨のキワに硬結があります。それを指圧で緩めていく。また、アトピー性皮膚炎や頭痛を持っている方も側湾症には何故か多いので、そういう不調を抱えている方には鍼も加えます。
鍼でそれらが治るかというより、指圧よりもさらに強く深く、神経にアプローチする手段が鍼だからです。あらゆる方向からアプローチをすることが、症状の重い人には必要になってきます。
オイルマッサージは背部痛や腰痛の原因となる炎症、浮腫みを取り去るアプローチです。これは側湾症の直接の原因というより産物、といった感じ。症状がなければやらなくても大丈夫です。
よく、ビフォーアフターで施術後一瞬にして側湾症が治った!みたいな奇跡体験見かけますが、おそらくそれはもともと側湾症ではなかったんですよ。おそらく、ただ背中の筋肉が凝ってただけです。気のせい、ってやつです。
大体、施術はうつ伏せで行いますから、立って重力の影響を受けたらすぐ元のフォルムに戻ります。だから、少しずつ少しずつ、重かった症状が軽くなり、上向きでも寝れるようになったり頭痛が減る、という事実が大切。
事実と実感が大切なのであって、画面上で見た目が真っ直ぐかどうかはほとんど意味がありません。
セルフケアもオススメ
セルフケアをするならば、横向きをとるとしても左右交互に、もしくはいつも左向きなら右向きにストレッチを入れる習慣をつけるといいですよ。
一方方向ばかりだとより強固にクセがついてしまうので、反対の動きを取り入れたりPNFストレッチ(拮抗筋を動かすストレッチ)は有効な手段。
もともとみんな骨格標本のように真っ直ぐではありません。なのに施術で背骨の位置を、いとも簡単に第三者が動かすことなどできたら人間の体はとっくにバラバラになっています。左右均等に、少しでも反対側の可動域を広げることが側湾症の症状緩和には非常に有効です。