筋膜リリースって何?|リラクゼーションと鍼灸あん摩マッサージの家しろたえ
エステやマッサージ店のメニューで『筋膜リリース』という言葉を聞いたことがある方は多いと思いますが、実際何をやって、どんな効果を得るものか?知らない方が多いので説明したいと思います。
筋膜をリリースする。筋肉から何かを離すということなのですが、これが何かというと『皮膚』です。皮膚と筋肉の間を離す、隙間を作る事で栄養状態をよくしていこうというものです。そもそも筋肉ではなく『筋膜』ではないかという話ですが、筋膜とは筋肉を包む膜を言います。鳥ササミを見るとわかりやすいのですが、表面に薄い膜が張ってありますね。あれが筋膜です。あの膜がないと筋肉同士の境目がなくなり擦れてしまいます。
筋肉は筋膜に包まれ、その外には皮膚がありますが筋膜に皮がピタッと張り付いているわけではなく、その間に酸素や栄養を交換するための軟部組織(骨、筋肉以外の支持組織。脂肪など)が存在しています。
疲労や緊張など、様々な原因で軟部組織のスペースが狭くなり、筋膜と癒着を起こすとその部分の栄養状態は悪くなります。軟部組織は血管を持たない部分、関節内などに栄養を送る役割を持っており、血管のように栄養の橋渡しができるのです。
そこの隙間はとても重要なのですが、ちょっとご自分の腕をつねってみてください。皮膚単独で摘めますか?どちらかというと『肉』を掴んでいる感覚の方は癒着気味だと思います。
次にできるだけ小さくツマミます。そして小さく摘んだまま、横にローリングしてみてください。これができれば癒着していない、ということ。そしてこの作業が筋膜リリースです。
オイルマッサージの中でスキンロールという手技があるのですが、それのことを筋膜リリースと呼んでいるのだと思います。
癒着が進んだ状態は、例えればサイズの合わないキツいスーツを着ているようなもの。お正月明けの初出勤で背中がキツくてつり革が掴みにくい、前屈でズボンが破けるかボタンが飛ぶ予感がする感覚です。ヨユーがないよ、ということです。
キツいスーツを着ていても下がスウェットなら腰から下が楽なように、腰が慢性的に調子悪い方は腰回りだけスキンロールできなかったり、部分的に現れることもあります。
時々、ストレッチをするお店で筋膜リリースをうたっていたり、小顔矯正といったフェイシャルに筋膜リリースを取り入れているお店を見かけます。こういう場合、どうやってリリースしてるのかな?と思ってしまいます。
ストレッチは筋肉を伸ばす手技です。筋肉の着地点は骨なので、またいでいる関節を広げることで筋肉が伸びます。ちなみに筋肉は縮むことはできても自ら伸びることはできません。『意図的に伸ばす時に伸びてくれる』ということです。
ストレッチでのアプローチは、実際には筋膜リリースとは違うということになります。イメージ的に伸びているのでリリースされた感があるのかもしれませんが、実際は関節をリリースしている(しかしこの表現も微妙)と思われます。
顔の筋膜リリースなどは、そんなことしたらブルドックフェイスになってしまうだろ、と私は思います。先程言ったように筋肉は基本骨に着地しているので、顎関節周りは咀嚼筋などの細かい筋肉が付着しており、膝などの運動器と同じ役割を果たしていますが、表情筋の付着部は皮膚なのです。顔が垂れてこないように、変な顔をしてトレーニングするのもこのため。顔面に曲げ伸ばしできる関節はありません。だから動かすためには顔の表情を変えるしかないのです。
また、顔のトレーニングは体でいうと筋トレにあたります。ストレッチではありません。柔軟性は必要ですがユルくなったら都合が悪くなる部分。皮膚に筋肉が付着しているという事は背中のように筋肉の上に皮膚が乗っかっている、筋肉が皮膚に包まれている感じ、とは別ものになります。
膝関節で言えば、膝を曲げるために筋肉が関節をまたいで骨にくっついているのですが、表情筋はその着地点が皮膚であるという事なのです。なので、皮膚とリリースしてしまったらマズいと私は思いますよ(^-^;
しかも、顔に関しては疲れが溜まって表情筋がガチガチになってくると皮膚が地滑りのように垂れて『疲れ顔』になります。だから、筋肉の硬結を取ってあげて(ツボ押しなど)循環を良くしてあげると元に戻ります。つまり、顔に関してはリリースしてしまうと地滑り起こしてブルドックになると私は思います。
実際、筋膜リリースが必要な状態は自覚しにくいです。肩凝り、腰痛などのように痛みを発するわけでもなく、浮腫のようにビジュアルでわかるようなものでもない。
寝不足が続いていたり、慢性的に疲労が取れていない状態の方、血色が悪い方に満を持して現れる症状という感じです。実際、癒着が進んでいる部分に筋膜リリースをしてあげるとすごく軽くなりますし、施術後の爽快感はマッサージ以上だと私は思います。ただし、施術中はずっとツネられているため痛いですし、癒着してないと何も感じないです。
膝が痛いおばあちゃんとか、ご家族にいるようでしたら膝にやってあげるといいと思います。その際は膝の真ん中から始めて左右にローリングします。外側は大体痛いです(笑)
歩いて足を引きずっている状況の方でも使って大丈夫ですので、日頃のケアに取り入れてみてはいかがでしょうか?
マッサージ師は学校でマッサージの基本的な事を学ぶため、それが何を意味するものかを勉強していますが、民間だとそこまでちゃんとやらないので、安易に魅力的なフレーズを使ってしまいます。お客様もさほど気にしていなければ良いのかな、とは思いますが本当はとても効果があって素晴らしい手技ですので、知っておくと良いかと思います。