うつ伏せ寝のススメ

寝相でわかる性格診断、とまではいきませんが、みなさんはどんな姿勢で寝ていますでしょうか?手を広げて大の字で寝る方は特に今不満がなく幸せな方だそうです。また、朝起きて体のどこかに手を当てていたなら、それは弱っている場所を守ろうとする体の防御反応なのだそうです。どちらも無意識に行われている分、深層心理に近いのかもしれません。

赤ちゃんが生まれた時に、頭の形が悪くならないようにとうつ伏せ寝が推奨された事がありましたが、呼吸器のトラブルが起こり今では上向きが一般的です。

でも、大人のみなさんはもし肩と首が柔らかいようなら、ぜひうつ伏せ寝にトライしてみてください。

肩がゼロポジションまで上がらないとうつ伏せ寝はできません。ゼロポジションとは、肩甲棘(肩甲骨の上にある斜めの突起)と上腕骨が一直線上に揃う肢位で、最も肩に負担のかからないポジションを言います。うつ伏せ寝で両手の手の甲をおでこに当てた時の腕の角度がちょうどゼロポジションになります。なんだ、簡単ではないかと思う方もいれば、長年デスクワークをしている方は、巻き肩といって上腕骨頭が内側に捻れている事も多いので難しい体勢になるかもしれません。また、大胸筋や三角筋、上腕二頭筋が発達しているマッチョ体型の方はゼロポジションまで上がっても床から体が浮くので、その時は胸と床の間に枕やクッションを挟むといいでしょう。

それから次は顔。

顔が完璧に横を向いてくれないとうつ伏せ寝は完成しません。顔が真横を向けないのは首の骨の柔軟性がないということ。頸椎を繋ぐ関節の柔軟性です。また、マッチョの場合、関節の柔軟性はあっても首の筋肉がデカすぎて可動域制限が出ている場合があるので、その場合は日々ストレッチで筋肉の柔軟性を取り戻すとよいかと思います。

うつ伏せ可能な首と肩の検査が終わったところで実際にこれで寝てみます。

うつ伏せ寝のメリットは『唯一背骨が重力から解放される体勢』であるということ。起きている時でも寝ている時でも、うつ伏せ以外は背骨には常に重力と体重、内臓の重みがかかっています。そこからの解放です。

第二の解放ポイントは、呼吸です。ものすごく眠い時、リラックスしている時、人の呼吸は深くなります。その時の呼吸を観察してみると、胸やお腹よりも肩や背中が大きく動いていることに気づくかと思います。ヨガなどで意識的にお腹を動かす深呼吸よりももっと反射的なもの、無意識にやっている呼吸です。

この呼吸をするのに上向きで寝ていると、ちょうど動かしたいはずの肩周りや背中が下敷きになっているのでふくらみにくいのです。

常に四つん這いで生活している動物たち、例えばペットの猫ちゃんを見てみてください。お腹側ではなく背中全体が呼吸により動いているのがわかります。

そして、実は動物はみんなうつ伏せで寝ています。

動物は人間と違って『顔の後ろに頭が付いている』ため、上向きだと頭が邪魔なのかもしれません。どういうことかというと、人間の場合顔の上に脳がありますが、動物たちは顔の上ではなく後ろに脳があるということです。こういったポジションの関係もあるのかもしれませんが、外敵から身を守るため、素早く反応するため、動物はうつ伏せなのだと思います。

よく考えたら上など向いて、無防備なお腹を晒して寝ているのは人間だけかもしれませんね。

私たち人間は常にうつ伏せで寝なくとも、それが理由で外敵に襲われる事はまずありません。ですが、ストレスが多く、不安が強い時、呼吸が浅い時はうつ伏せ寝がリラックス効果を高めてくれますので、ぜひ首を痛めない程度にやってみてください。

大体、最初にうつ伏せ寝で寝に入っても朝起きたら上か横を向いているはずです。寝返りが打てている時点でだいぶ健康的ですので、それも目安になるかと思います。