国家資格者と無資格者の違い

インスタを見ているとすごい数の整体の広告が出てきます。毎日次から次へと新しい先生が誕生しており、奇抜な施術を披露しています。

『整体師』というのは国家資格以外の民間資格を持っていたり、あるいはそれもなくボディケアをしている人達、もしくは国家資格はあるもののマッサージ師ではない柔整師や理学療法士が名乗るものです。

国家資格を持っていなくてもお客さんを集めることはできるし、マーケティングが上手ければ稼ぐこともできます。むしろ、国家資格を持っていた方が色々な法律の制限があるので迂闊に好きなことを言えず不利かもしれません。

無資格はある意味フリーダムですから無料と称して施術動画を公開してスクールの生徒を集めることもできます。有資格の場合、お金の話を全面に出して集客すること自体できません。痛みを治す目的において料金のたたき売りをして競争してはいけないのです。

その他に最近では、無資格でも『私達は解剖生理学をしっかり習っています!』とうたっているところも多く安心感を与える術も身につけています。実際に数ヶ月ではありますが、キチンと筋肉の名前、位置などを勉強しています。

施術はどうかといえば、必ずしも国家資格者が上手いとは限らず、相変わらず好き嫌いとか相性が分かれるところ。お客さんからしたら決定的な違いなどわからないし、上手ならどちらでもいい、と思うのではないでしょうか?

そこで、私が思う決定的な違い。

国家資格者は『運転免許試験を受けて免許を取ったドライバー』のようなものです。教習所ではまだ運転する前から人を轢く前提で授業が始まります。ありとあらゆる場所から人が出てきて轢くテイで話は進んでいくため、途中から運転したくなくなる気分にさせられます。

鍼灸マッサージ師の専門学校も同じく、まだ鍼を自分の太ももに打って練習している段階から、もう肺に刺して気胸を起こさせてしまった話をしてきます。ここに刺せば延髄に刺さって呼吸困難で死ぬ、ここは腎臓に刺さる、こんなことすれば流産の恐れがある…!など、気が滅入るほど後ろ向きな情報を叩き込まれます。

現場では、鍼はよほどの本数を的確に深刺ししない限りは実は平気だと言われています。延髄にクリーンヒットさせるのは現実的にはスキマが狭すぎて容易ではないのです。

だからインスタの広告に出てくる、子どもの頭を矯正する、だとかマタニティなんとかといって臨月の妊婦さんに施術するとか、私にとっては恐怖でしかありません。そういう施術がメジャーじゃないのはできないからではなく、メジャーじゃない理由があるんです。

子どもの首や頭はまだ柔らかく、まだこれから出来上がっていくものなのです。歪んでいるわけではありません。それを徒手でどうにかしようとする恐ろしさ。赤ちゃんの脊柱は丸くてS字のカーブなどありません。これは歩き始めてから徐々に作られていくものなのでおかしいわけではないのです。

臨月の妊婦さんに関しては、優しい刺激ならほぼ大丈夫ですし、お医者さんの同意を確認の上、お客さん本人に同意書を書いてもらえれば施術者の責任は回避できます。しかしそういうことではなく、臨月の妊婦さんが万が一施術中、サロンへの往復、サロン内の階段やベッドから落ちたり産気づいた時、どうやって対処する気?と思うのです。

特に怖いのが早産です。

施術関係なく突然その日がやってきた時、対応しているセラピストに何ができるのか?何をする気でいるのか?と思います。1か月前なんて、普通に産まれてしまうこと多々あるんですよ。私の友人も、一緒に都内でランチの予定を立てていた当日の朝、お産が始まりました。

魅力的な整体の広告、動画にはくれぐれもご注意を。

人に触ることに躊躇しない整体師はゴッドハンドではなく、危険を知らないだけの可能性が高いのです。すごいかすごくないか、ではなく、資格の有無はこういうところに決定的な違いがあります。ぜひボディケアサロン選びの参考になさってください。