プロとアマの違い

現場とかけ離れた経営者

先日あった知床遊覧船の事故、とてもショッキングです。

私も旅行先で乗り物に乗ることは度々ありますが、運営している会社がひょっとしたら素人かもしれない…なんて普通考えません。でも、昨今こういう会社多いと思うんです。お金に物を言わすというか、いとも簡単に経営者になろうとする。勉強もしない、現場も知らないで。

現場であくせく働くのがカッコ悪いという風潮なのか、データやコンサルとオフィスで睨めっこして、働く人たちを見ようとしない。いつからこんなになってしまったんでしょうね、技術の日本だったのに…。

マッサージ業界のプロとアマ

さて、私の持っている鍼灸あん摩マッサージ指圧師の国家資格はプロの印ですので、今日は『マッサージのプロとアマの違い』をお話ししたいと思います。

国家資格と無資格の違い、実は施術の腕ではありません💦

意外にも無資格の方がいきなり現場に出てお客さんをマッサージしているから、数をこなしている分、上手かったりします。ですから、本質はここではありません。遊覧船と同じなんですが『危険予測ができるか否か』、これに尽きると思います。

運転免許と似ているのですが、資格を取るための勉強って『もうすでに事故ったかのように』言われ続けることなんです。運転免許ならば、もう人一人轢いたかのような、運転なんてしたくなくなるような授業のオンパレード。鍼灸マッサージ師もそう。

もう人一人殺してしまったかのような、そういうことなら鍼なんか打ちたくない…と思うほど、事故を前提とした授業の連続なんです。

そのくらい、気を引き締めて、勉強しないといけませんよと教わるのです。

一方無資格マッサージというのは、まずいきなり人を癒そう、治そうとしますし、何ならできると思っちゃってます。まず、セラピスト自体が何もわかっておらず、人を癒す前に己の精神不安定治したら?という人いっぱいいます。自分がまず無防備でいること、自己防衛できずにお客さんを救おうとする行為は『共依存』と言って危険な状態なんです。

アスリートにおかしな整体師がついてから成績が落ちるという現象はそういうことから起こります。与えられるほどの土台を持ち合わせていないんですね。

できること、できないこと

解剖学を学べばいいか、と言ったら学ぶに越したことありませんが、臓器の位置と疾患を知ったところで『治そう』とする時点でアウトなのです。治療行為はお医者さんがすることであってセラピストのすることではないのです。

プロはそこをわきまえている。解剖学で部位の名前を完全網羅してるのではなく、マッサージにおいて骨折の恐れがある場所、症状によっては悪化する可能性があることを知っています。だから、できないものはできないと言いますし、いくら強め希望でもうつ伏せのお客さんに乗っかって足で踏むことはしない。なんなら肘だって簡単には使いません。肘は骨なので受け手の状態が伝わってこないからです。

強いマッサージを頻繁に受けるというのは、組織を何度も傷つけていることでもあるので、体は傷を修復しようと瘢痕を作って固めてきます。だから受ければ受けるほど感度は鈍くなる。鈍いというのは敏感の先にあるものですから、良くなっていないんです。麻痺って人間にとって危険な状態ですからね💦

よくない風潮

前述の遊覧船の事故では、社長が素人でした。

私たちの仕事でも、経営者がまるで異業種の人というのは増えています。現場の職人ってお金を稼ぐのに体を張って苦労している分、商売が下手だったりするので、そこの全面バックアップを経営者がするんですね。お金さえあればできることを、いとも簡単にしてしまう。だから頭が上がらないのです。

でも、それでいいんだろうか?

日本はもっと技術と経験、現場で働く人を大事にしないとダメです。従業員は道具ではなく、お客さんは金ではない。何を提供し、与え、与えられるのか?サービスの根幹、商売のあるべき姿を今一度見直さないといけない、私はつくづくそう思います。