骨盤を知ろう
私はかつて『全て骨盤が悪い』と考えている先生の元で働いていた事があります。腰痛の原因の一つとして疑うならまだしも、首、肩、不定愁訴に対しても全ては骨盤が悪く、もはや今月お金がなくて困っているという事ですら骨盤が悪いと言いかねない勢いでした。
骨盤というワードを持ち出されると圧倒的説得力とともに盲目的にその治療法が合っていると信じてしまいます。不調の原因が本当に骨盤なのか、実際骨盤がどんな役目をしているか知るところから始めてみましょう。
人間は二足歩行するために骨盤から上をよっこらしょ!と無理矢理起こしている状態です。お猿さんも二足歩行できますが歩きにくそうに見えます。これは骨盤がそれ仕様に進化しておらず、大腿骨が股関節から膝に向かって真っ直ぐついているからです。
足と足の間、股の部分に大きな隙間がある女性がO脚を治したいと言って来院された事がありました。遠目に見るとO脚なのですが、これは膝の変形ではなくお猿さんのように股関節から膝に向かって真っ直ぐに生えており、内側に入り込む角度が足りない事が原因なのです。治るか治らないかは、後天的に起こったものには希望がありますが生まれつきだと難しいです。
二足歩行に適応する骨盤は前傾が必須です。
まず、骨盤の前後傾をチェック
骨盤が後ろに倒れていると連動して足は開く方向へいきます。そしてこのフォルムだと後ろ重心になるので歩行しにくくなります。逆に骨盤が前に倒れていると足は閉じる方向へいきます。椅子から立ち上がる時には骨盤が前に倒れてくれないと、いつまでも後ろに重心がかかっているので立ち上がりにくくなります。
二足歩行で不自由なく生活するためには骨盤が前と後ろに自由に動かせるようにならないといけません。セルフチェックするならば、座っている時に坐骨で着地と仙骨で着地ができるかどうか。坐骨で着地は正座している時のピシッと腰が伸びているイメージ、仙骨で着地はあぐらで背中を丸めて座っているイメージです。どちらも『座っている』のですが床についている骨盤の部分が違うのです。
これができない方、結構います。
骨盤を立てる、倒すに関して言えばこれは使い方の訓練になります。他人が外側から矯正をして治る部類ではないと私は思います。
これに気づくだけでも大幅な姿勢の修正ができるのでひょっとしたら人生が変わるのではないか?とすら私は思います。骨盤を前に動かす事ができれば前重心にするために足裏も爪先寄りに体重をかけられるようにする必要があります。そうすると自ずと足周りの余計な肉が落ちるため、足が細くなりお尻の筋肉も使うようになるのでスタイルが良くなります。
次は骨盤の開閉をチェック
基本ガニ股の方は骨盤は開いていると思っていいと思います。仙骨、尾骨付近が痛む腰痛の方もその可能性大。女性は生理や出産のために仙腸関節が柔らかいので普段の姿勢、筋力の影響で開いたままになりがちです。男性は仙腸関節の安定感はありますが、そもそもガニ股が多いので開いてしまっている人が多い。こんな方法でセルフチェックができるのでご紹介します。
立ったまま骨盤を囲うようにして両手を腰に当てます。
そして、ちょっと大胸筋にもお手伝いしてもらいます。腰をホールドしたまま、肘を内側に入れるように力を入れます。この時、腕の力ではなく胸の力を使って骨盤を左右から、面で圧を加えてください。これで押している間やたら楽になる感じがしたら、骨盤が開いている証拠です。何故開いてもーたのか、原因は色々あります。長時間座りっぱなしでもこうなりますし、満腹でお腹いっぱいの時も簡単にこうなります。でも開いても良いのです、閉じる力があれば。また、腰痛がなければ良いのです。
産後のママさんや、腰痛が酷くて原因が骨盤にある場合は閉めるための治療をすべきです。
手っ取り早いのは骨盤ベルトでしっかり固定する事です。それと並行して、内転筋、腹筋、臀筋の筋力強化で、ベルトを外しても閉まった位置にいてくれるようにします。
その筋トレは日常でもできます。基本、骨盤をどうにかしたい時は立っていてください。寝てたり、座っていたりすると骨盤を意識しにくくなります。
立ったまま両手で骨盤をホールドし、お尻と足に力を込めて全力で真ん中に寄せます。お尻を一個にするイメージで足ごとです。若干爪先が外を向く勢いで力を込めて、プルプルきたところで脱力。いけそうだったらお腹も力を込めてください。お腹は引っ込めるのではなく平らになったところでキープ。これを立っている間、飽きるまで続けます。
骨盤が閉められるようになるときっかけがわからない無駄な腰痛がなくなります。目安としては横からホールドした時何も感じなくなる事。楽になる感じがなくなったら骨盤がしっかり閉まってくれたという証拠です。
最後に骨盤の左右の高さをチェック
おへその横に腰骨の出っ張りがありますが、これの高さの違いで左右の腸骨の微細な位置がわかります。これをもって足の長さを揃えたがるセラピストもいます。確かに、足の長さが違うことでどちらかが倒れていると想像できますが、これが全身のバランスに影響を及ぼすことはそんなにないと思っています。足の長さは単純に筋肉の硬さの影響も受けるので右利き、左利き程度でも違うものです。また、ランニングで毎回同じコースを走っている人では車道側の斜めに下がっている方の骨盤が前に倒れる事があります。それにより足の長さが変わりますが、それならコースを反対周りすればバランスは戻ります。
足を組む癖がある人の骨盤も下敷きになってる足の方の骨盤が倒れますが、反対側で組み替えればオッケーです。
ちなみに足を組む時下敷きになるのは柔軟性のある股関節の方に多い、など色々骨盤以外も関係しており単純に足の長さで判断できないかな、と思います。そして、左右揃えるのも簡単なのであまりこのことが全身に影響を及ぼすこともないと考えられます。
座り仕事よりも立ち仕事の方は日常的に骨盤のケアできるので有利です。座っている時は重心のベースが骨盤にあたるのでその状態ではアプローチできないのです。休みの日や通勤時など、他の時間なるべく立つようにすると良いですね。
どうでしょうか?全ての原因が骨盤にあるかといったらそうでもない気がしませんか?それとこれとは別なのでは、、と思っても良さそうですよね。しかし、全てにおいて言えるのはやはり筋肉は大事です。人間の体の筋肉は60%が下半身に集中していますから骨盤の傾斜、チャクラ、子宮を中心と考えるより足腰鍛えた方が早いのです。
現場からは以上です👍それではまた♫