骨盤底筋群と頻尿
前回の骨盤から引き続き、今日は骨盤底筋群と頻尿の関係です。
頻尿とは
「尿が近い、尿の回数が多い」という症状を頻尿といい、一般的には、朝起きてから就寝までの排尿回数が8回以上の場合を頻尿といいます。 しかし、1日の排尿回数は人によって様々ですので、一概に1日に何回以上の排尿回数が異常とはいえず、8回以下の排尿回数でも、自身で排尿回数が多いと感じる場合には頻尿といえます。日本泌尿器科学会〜尿が近い、尿の回数が多いより抜粋
頻尿は結果です。こうなる原因としていくつか考えられるので、当てはまるものから改善していくと良いかと思います。結論としましては、やはり筋肉はマストですので最終的には骨盤底筋群は外せないかと思います。
原因①心因性によるもの
気持ちの問題というやつです。よく『この先トイレがないかもしれない』という不安からワンアクションごとに『トイレに行っておく』という、暗示にかかっている状態。行っても出ないので意味ないのですが行かずにはおれん、ということ。これは個々の性格なので改善は難しいですが、よくよく考えた時に『頻繁にトイレに行っている』だけで尿意があるわけでもなく出るわけでもないので、NHG(日本泌尿器学会)の定義と完全に一致しないかと思われます。
ただし、このようにお気持ちだけでトイレに行くことにより、本物の頻尿にならないように気をつけなければなりません。
骨盤底筋群という締めるための筋肉を甘やかしていることになりますから、筋力低下からの本物の頻尿はあり得ます。
排尿一つでも、3つの筋肉の関門があります。内尿道括約筋、外尿道括約筋、骨盤底筋群といって、一つ一つ緩めながら排出が成されるのです。だから我慢ができるのです。関門が一つだったら尿意を感じ次第速攻排出されてしまいミスが多発します。人間、それでは困るのです。
膀胱炎に気をつけながら簡単にトイレへ行かず、我慢することで排尿にまつわるこれらの筋肉を鍛えることができるので、お気持ちだけで筋肉を簡単に緩めないこと、これが心因性による頻尿の改善策ということになります。
原因②冷え、加齢による膀胱の柔軟性低下
膀胱はバルーンのように伸びて中に尿を貯めることができますが、寒さや加齢により膀胱の柔軟性が落ちても頻尿になります。
膀胱がいっぱいになったことを神経という名のセンサーがお知らせし、筋肉を緩めて排出する仕組みになっています。ですから、柔軟性に乏しいと満杯になるのも早くなります。普段トイレに行く回数が多くない方も、寒くなってくると増えるのはおそらく冷えにより柔軟性が低下して一時的にトイレに行く回数が増えている可能性があります。でも、一時的ならそんなに気にする必要もないと思います。
よもぎ蒸しという、穴の開いた椅子に座り尻の穴を直に蒸して温めるという韓国の療法があります。これで子宮や膀胱などの内臓が温まるかは謎ですが、内臓を温めるなら鍋でも食べて温かい物をダイレクトに体内にブチ込むのが一番早いと私は思います。
さらには、骨盤周りの血流改善のために運動をする、じっとしてないで動く、ということが重要になります。
原因③骨盤底筋群の筋力低下
骨盤底筋群とは、骨盤の底の方に張り巡らされている複数の膜のような筋肉です。こちらは出産を機に傷ついたり緩んでしまい尿失禁に悩む方も多いと聞きます。
筋肉は鳥のササミを見てみるとわかりますが、スジが束になってできています。このスジ一本が切れてしまう事を部分断裂といい、全部切れたら完全断裂、結構な範囲が切れて動きに制限が出れば肉離れとなります。全部肉離れなのですが、傷の大きさの違いです。
スジ一本が傷ついたくらいでは動きに影響はありませんが、この傷を治すために繊維化してしまうと柔軟性に乏しい筋肉の出来上がりです。繊維化は修復の過程で仕方なく起こるので、マッサージをしたり運動で解れたりする事で改善されます。
骨盤底筋群を指圧する事はできません。
だから難しいし時間がかかるのですが、筋肉を使うことで血流を改善し栄養状態を良くすることは可能です。
骨盤底筋群のエクササイズは検索すればいっぱい出てきますので見てみてください。私が個人的に推奨するのは、トイレを我慢する、内転筋を鍛える(というか足腰)、開脚ストレッチを控える、の3つです。
開脚ストレッチは一般的にとても推奨されており、開けば開くほど良しとされています。お相撲さんはまず、この180度開脚をゲットするために薄筋という内側の筋肉を切る、という都市伝説がまことしやかにささやかれています。
股関節を柔らかくしておく事は重要なのですが、もっと重要なのは『生活する上でそこまでの可動域が必要か?』という事です。ここまで横に足が開く事が自分のライフスタイルに不可欠ならばしたらいいですが、少なくとも私は必要ありません。
開く方向が柔らかいという事は閉じる方向へも柔らかくなります。したがって骨盤底筋群も柔らかくなりますから筋力強化するなら相応の訓練が必要になります。
だったらそんなに足を目一杯開く必要はない、ということになります。実際、腰痛の原因として内転筋が弱い方も多いですから足を閉じる筋肉は鍛えておいて損はありません。また、骨盤底筋群を意識するポイントとしては、
立っている時に下っ腹を引っ込めることです。
お腹全体ではなくヘソの下。ここにそもそも力を込められない方は骨盤底筋群が弱すぎですので注意が必要です。多少太っていてお腹に肉がついていてもヘソ下がぺちゃんこで硬さがあれば骨盤底筋群は強めですので安心です。
余談ですが、女性の場合生理の時にタンポンを使う人は骨盤底筋群の力が強いといいます。タンポンは血液を吸うと重くなり、少し下に下がってきますがこれをキープすべく周りの筋肉が働くというわけです。
実際、医療の現場でもタンポンのような物を挿入してトレーニングをし、尿失禁の治療をしています。
また、頻尿の原因に子宮筋腫や前立腺肥大など、膀胱付近に邪魔者がいるパターンもありますのでちょっと異常だな、と思ったら検査してみるといいかもしれません。
お尻周りのトラブルは人に相談しにくいですし、ネットで『頻尿 改善』と孤独に検索するのが精一杯です。あまりトイレに対して神経質にならないこと、そしてトイレに行く回数がちょっとでも減った時には自信を持ちましょう。自信を持って自分を褒める。誰にも言えない悩みはこうすることが大切です。