不妊に鍼灸治療は効くのか?

先日、タレントさんが藁にもすがる思いで不妊の鍼灸治療に挑戦したところ『指示通り通うも効果が出ず、さらには受ける前より数値が悪くなった』と嘆いている記事を見かけました。

週一で通い、漢方と合わせて行うということで結構な費用がかかったそうですが、結局願いは叶わず『週二で通ってくれてたら違っていたのにね』みたいなことを言われ傷ついたのだそうです💦

その記事への反応には不妊治療に取り組んでいる鍼灸師やら一般の方やら色々コメントがありましたけど、鍼灸治療に不信感を与えてしまった感は否めないです。

『この院長の言い方、対応が良くなかった』

『もっと良い鍼灸師に出会えていれば』

『そもそも鍼灸が不妊に効くという根拠はあるのか?』

などなど、現役の鍼灸マッサージ師として耳が痛い思いをしながら読んでいました。最終的に、このタレントさんが言うには『弱みにつけ込んだ商売』だと。

では、実際どうなのでしょうか?

院長の対応が良ければ効果が出ずとも納得したでしょうか?もっと良い鍼灸師に出会えていたら妊娠できたでしょうか?鍼灸マッサージは相性のいい施術者に会えたら離さない方が良いと言いますが、不妊治療に関してはもっとセンシティブであると思います。

すごく難しいと思います、妊娠を叶えるって💦

年齢というリミットもあるし、タイミングや説明できないことがいっぱいあります。それを外部のどこぞの鍼灸師が『◯回で治ります』と言ってしまうのはいかがなものかと。それこそ、何にもわかってないからこそ言えるんじゃないか?って思ってしまいます。

病院でわかることは検査による数値。薬を処方して数値を正常にしていく。そういう治療法だったら不妊にアプローチできると言い切れるかも知れませんが、鍼灸治療というボディケアの部門ではあくまで『全体のコンディションを良くしていく』といった外からのアプローチになります。

ですから、不妊だろうが肩凝りだろうが、鍼灸治療のアプローチの方法はさほど変わりません。

だからこそ不妊治療に悩む女性の最後の砦になれるとも言えます。数値を努力で上げるのは難しいし、ストレスや生活習慣全般が絡むとお医者さんは関知してくれません。ボディケアはストレスなどに対して『実感できる改善』を与えてくれます。

実感として『体が楽になってきた』『よく眠れるようになった』というのがストレス緩和などに繋がり、ゆくゆくは妊娠できるコンディションになるのかもしれません🤔でも、それで妊娠できるかは誰にもわかりません。

きっかけを与えることはできても、治るか治らないかは結局本人の体力次第なのだと思います。

だから、間違えてはいけないのは『西洋医学で治らないのに東洋医学は治せる!鍼灸師の私は凄い!』という施術者のおごり。

どの段階で来られようと、西洋であろうと東洋であろうと、不妊治療はとても難しくセンシティブであることに変わりはないのです。それを『自分のところにくれば治るし、治っている人がいっぱいいる』なんて宣伝すべきではありません。

進学塾じゃあるまいし、これではまるで合格率のようです。

週一しか通えなかった患者さんの努力不足、なんて言うべきではありません。それは施術者の逃げです。不妊の鍼灸治療はマーケットとしてニーズがあることは確か。美容鍼灸と不妊治療ができると儲かると業界では言われていますから。

ただ、やっぱり妊娠という難しいメカニズムをいとも簡単にコントロールできると思ってはいけないですね。

諦めかけた時に妊娠が発覚した、というのは昔からよく聞きます。

プレッシャーから逃れてリラックスした時に、フイに訪れると言いますね。それはもしかしたら不妊の鍼灸治療から離れた時かもしれません。

鍼灸治療で治ったのかもしれないし、違う理由で治ったのかもしれない、体の中で起こることって他人がどうにかできる簡単なものではないですから、あまりゴッドハンドや話題の先生に踊らされることなくどうか冷静に向き合って欲しいと思います。

藁にもすがる思いの時に、私のように『できるかどうかはわからない』という人間は冷たく映るかもしれません。かと言って『私がいるから大丈夫』という人間に当たればこうなる可能性があるのです。

鍼灸治療は魔法ではないですから、くれぐれもお互い冷静になって、アプローチの一つの手段だと考える必要がありますね。私のオススメは色んな角度からのアプローチをサラッと併用することです。

お医者さんで数値チェックしてもらったり、運動を取り入れたり、食生活を整えたり、ボディケアを始めたり。どれか一つに没頭するのではなく、あらゆる角度から足したり引いたりすること☝️実は、東洋医学で大切な陰陽五行の考え方です。

難しい不妊の鍼灸治療という分野。叶っても叶わなくても、取り組むみなさまが納得のいく結末を迎えられたらいいな、と思います。