今必要なのはスポンジボブ的笑い
緊急事態宣言が解除になりましたね。でも、もはやこの仕事がこれから成り立つのか、ボロボロの『無』状態からのスタートです。お金で持つのはせいぜい3か月、給付金で持ち堪えたとしても職業として自分の技術を提供できる状況になければおしまいです。やっても意味がない、だから長期的にはお金の問題ではないのです。
私は女なので比較的フレキシブルに進路変更できますが、男性は仕事が自分の価値、存在意義に直結していますから死活問題です。
緊張が少し解かれたのは喜ばしい事ですが、圧迫感の拭い切れない今、笑うことの大切さを感じます。少しの間でも友達と家族と、他愛のない、くだらない話で楽しく笑った後の充実感。緊張の糸がプツッと切れていきなり寝てしまうこともあります。LINEやスカイプで話すのとは桁違いの幸福感。中医学では『笑い』は心身の健康に大切な位置づけです。辛い時に一瞬でいいから、ただ大笑いをする。大きな声を出して無理矢理笑い顔を作るのです。何も面白い事はなくとも、脳内物質セロトニンを強引に出しちゃおう!とかおそらくそっち系だと思うのですが、そのままでいると免疫力が下がるばかりですよと言いたいのだと思います。
さて、子供達の間で人気なのはアンパンマン、プリキュア、何とかレンジャーなど様々です。しかし、このように注目されることはなくとも何故だか子供が好きなアニメがあることをご存知でしょうか?
それは『スポンジボブ』です。
スポンジボブの世界観は大人には理解に苦しむ設定。スポンジが海の世界でバーガー屋をやっているというではありませんか。お話しの内容はアンパンマンと違って、スポンジボブが解雇されて就職先を探したり、生命保険に入ったり、大人にならないとわからないような内容。どこが楽しいの⁇と思うのですが、彼らの動きや掛け合い、スピード感と大袈裟なリアクションが子供心を掴んでいるのかもしれません。
『めばえ』という子供本を見てみましたが、ここにはプリンセスになるための方法が描かれていました。プリンセスの作法、プリンセスの服装、わかりやすく図解入りです。こちらの読者であればスポンジボブは真逆をいくと思うのですが、何故か不動の地位を築いているのです。カッコいいレンジャー系が好きな子供も何故かスポンジボブは好きだといいます。
素敵な完全無欠のヒーロー、ヒロインもいいけど、もしかしたらそれだけだと息が詰まるのかもしれません。すぐ目が取れたりするスポンジボブがオッケーで絵的に穏やかなサザエさんに見向きもしない子供達。この違いは何か?きっと単純に面白いのだと思いました。
『世の中には科学では説明できないことがたくさんある』とXファイルで言っていたように、本能に基づく笑いであり説明できないのです。ドクタースランプアラレちゃんもそう。
せんべい博士が驚いて目玉が取れ、間違えてミカンをはめてしまう。アラレちゃんがすかさず『博士、それミカンだよ』と言う。くだらなすぎませんか?でも、単純に吹き出しませんか?
最近のバラエティを観てて思います。タレント同士は楽しそうだけど、こちらはまるで面白くない。何が面白いのかわからない。笑わそうとしてるのか、ただ喋っているだけなのか全然わからないのです。それはきっと今の笑いが『説教くさい』からなのです。素人ウケ、玄人ウケ、私がわからない笑いは実は笑いの玄人ならウケる、若者にはウケる、私がわからないだけ。そういう面倒くさい後付けが今の笑いにはあります。
スポンジボブにはそのようなゴタクがありません。楽しそうな世界の楽しそうな仲間による単なる日常が描かれています。
私達には今、こういう笑いが必要です。
子供も大人も関係なく吹き出してしまうような、計算されていない笑いです。第一、今年に入ってからクシャミの一発も許されない生活です。ちょっとでも微熱があろうものなら、これにて終了なのか?と思わなきゃいけない日常。そんな中、どこかでリラックスを、と思ったらスポンジボブでも観て笑いましょう。彼らの世界に悲しみは存在しません。存在するとしても、滝のように涙を流してスポンジが乾いて萎むくらいです。
陰陽五行では悲しみの感情は肺に通じています。今回のウイルスは肺炎を起こします。是非、一度肩の力を抜いてみんなで笑いましょう。