指圧やあん摩はもみほぐし?
別にもみほぐしてるわけではない
鍼灸あん摩マッサージ師はもみほぐしが上手な人と思われがちですが、別にもみほぐしているわけではないんです。指圧やあん摩は硬結を狙って圧迫しているので揉んでもほぐしてもいない。
炎症を起こしている周囲はトリガーポイントという、痛みの引き金になる硬結がたくさんできます。硬結そのものは炎症の隣だったり、裏だったり本人にもわからないところに発生します。それがあることで、関節や筋肉の動きが悪くなり、血行不良やアライメント(構造)不良を起こし、回復が遅くなったり悪化したりします。
しろたえではまずこのトリガーポイントをどんどんやっつけていく。やっつけるために使うのが指圧やあん摩の手技。
トリガーポイント自体はキチンとマニュアルがあって、覚えてしまえばセルフケアも可能。
首のトリガーポイントは肩甲骨の間にできるので、ここをテニスボールなどを使って圧する。これが原因で首以外のところに痛みが出るのを『関連痛』と言いますが、いずれにせよ、関連痛も大元の首の痛みもトリガーポイントを処置しないと取れませんよ、ということなのです。
私はこのマニュアルをそのまま丸暗記ではなく、ツボを頼りに触って探すことが多いです。マニュアル通りの場所にないことも多々あるため、その探している姿がもみほぐしているように見えるのかもしれません。
腱鞘炎の場合、手首の裏表(外関穴、内関穴)、母指丘、豆状骨付近を探し、ひたすら潰します。小指側、神門穴もポイント。
トリガーポイントの処置は結構即効性があって、痛みレベルが即下がります。
それでもまだ炎症自体は治っていないので何回も同じ場所をチェックして、硬結ができ次第潰していきます。余計なものを取っ払うことで傷を治そうとする自然治癒力を邪魔しない、というわけです。
この理論なので、アキレス腱炎も同じで周辺を調べてひたすら潰す感じです。
単純に、鍼灸マッサージが一番いいよ
最近不思議な施術を行う整体師が多いですが、遠く離れた歪みにアプローチしたところで歪みが痛みとどう関係していたのか?説明することも確認することもありません。
『偉大な先生が施してくれたありがたや、また定期的に来ます。』という口コミを書いてもらって終了です。
治ったならもう来る必要ないのでは?そもそも遠方から来られるならどこも痛くないのでは?と、内心ツッコミまくりです。
私が思うに不思議な施術で治るのは心因性の痛みです。
この痛み、治らないんじゃないか?このまま自分は衰えていくのではないか?現状を打破したい!自分を変えたい!と思った時に、私のようにトリガーポイントを処置するようでは満足できるはずもなく。
現に、心因性の方の痛みにトリガーポイントなんてありませんから、手技の見せ所がないんです。必要なのは絶対的安心感と拠り所。本当はこうなってしまうと治るものも治らなくなるんですけどね。
私が施術で大切にしているのは、動物や自然界の摂理を忘れないことなんです。
人間は特別な生き物なのではなく、自我や意思、言葉があるからややこしくなっているだけです。拗れてドツボにハマり日々力が抜けないストレスフルな人には単純に優しく背中をさすってあげることが重要。そもそもスキンシップが足りないことでオキシトシンやセロトニンなどのホルモンが出にくくなっているのです。
何故にスキンシップが足りないかといえば、四六時中イライラしてる人に近づいてくる人などいないですし悩みを解決したいなら素直に『話を聞いて欲しい』と相手に言わなければダメです。ひたすら愚痴のマシンガントークを聞かされるなんて誰だってごめんです。
素直に、開放的になる瞬間が日常的にないと日々の生活に潤いがなくなります。
ですから根本的に解決するならば、生活や思考を見直して自分で幸せホルモンを出せるようになること。不思議な施術は難しい理論を用いて欠点を見つけ指摘し不安にさせますが、鍼灸マッサージはもっと原始的で単純で、痛みに寄り添い手を差し伸べることが基本です。
背中をさすられ緊張が和らぎ、深い呼吸が自分の力でできたら仕切り直し完了。
この他に何を求めるのか?難しいことを考えすぎて拗れているのだからもうこれ以上考えることをやめたらいいんです。
鍼灸マッサージは『単なるもみほぐし』ではなく、体と心を回復に向かわせる施術です。何より歴史が長くシンプルな手技ですからこれからもずっと守り続けていきたいですね。