ボディケアにかけるお金

マッサージの相場

先日ご来店のお客さんに『ボディケアにあまりお金をかけたくなくて…』と相談を受けました。物価高騰の今、痛みさえなければ発生しない出費。自分次第でいくらでも節約できるのだからしたいですよね。

マッサージの相場は10分1000円。最近のボディケア業界では1000円を割るところも増えてきましたが、それでは実際施術者は生きていけません。マッサージは運動強度を示すMETSの中でも高い部類に入る重労働ですし、鍼灸マッサージ師は資格を取るために500万もかけて学校に通い勉強と経験を重ねている背景があります。

価格競争をしてはいけない

また、鍼灸マッサージ業には『医療類似行為という役割を担う仕事において、価格競争が行われてはいけない』という法律があります。接骨院や鍼灸マッサージ治療院は金額や料金表を全面に掲示してはいけないのです。

HPの料金表だったらそこに行きたくて調べた結果見れる、ということでギリギリ載せてOKなのですが、病院と同じく価格で選ぶことのないようになっているのです。

ここだけピンポイントで厳重なので、おかげさまで無資格の人達にバンバン集客の場を取られてしまっているのですが、有資格者はやはりそれ相応の責任があって立場が違うということです。

つまり『鍼灸マッサージ治療院』や『接骨院』を掲げているところは体を治しに行くところであって、病院と立ち位置は同じです。

しかし『ボディケアにかけるお金』という悩みが出てしまうのは『定期的に通って予防した方がいい』という固定観念によるものだと思うのです。

定期的なボディケアで予防はできる?

最近は病院でも『予防医療』を連呼して何でもかんでもワクチンやリハビリなどで予防を促します。おかげで本来、病院というところは病気になったら行くはずなのに健康な人まで通うようになりました。どうしても『通う』方向に持っていこうとする流れは必要なのではなく、一つのビジネスだと私は考えています。

本当に予防できているのか?私達の提供しているものには形がありません。帯状疱疹ワクチンだって、打たなくても一生罹らない人は罹らず、受けたから罹っていないのかを証明する手段がありません。こんなぼんやりした『お守り』のようなもので予防と言えるのか?疑問が残ります。

台風で家が飛ばされないように物理的に補強するようなことを予防というのであって、お守りはどちらかというと『心の支え』ではないでしょうか。

鍼灸マッサージの施術も同じく、私の中では予防にはなりません。

必要なのはリカバリーと回復

予防というより『リカバリー』とか『回復』という言葉がしっくりきます。ということは、アクションありきなのです。

動いた後、酷使した後にすると効果が上がるのです。ダメージから早く回復すれば、運動強度を上げることができるのでより体を強くすることができます。そのため、何も起こっていない時に来る必要はありません。『お疲れが溜まる前に…』とよく聞く文言ですが、お疲れが溜まっていない時にマッサージしても何も起こらないのが現実です。

むしろ、余計なことをして筋肉や線維を傷つけるだけですし、甘やかしすぎると自分で回復する力を失います。

予防のために足しげく通う必要などなく、痛みがあり疲れや辛さを実感したら来てみてください。その時はいてもたってもいられないですから10分1000円の相場は普通に感じるはずです。

そこで60分3900円とか、どうせ通うなら…と回数券を買わせようとするサロンに行ったりすると、大して効果のほども現れないのに時間とお金だけがかかってしまうことになるのです。

出来るだけボディケアにお金をかけないためには、必要な時に必要な刺激量の施術を相応の料金で受けるべき。私は施術者ですが、受け手としてもそう思っています。ぜひ参考にしてみてください。

鍼灸マッサージには古い歴史がある